巻頭言
随意運動と運動学習
眞野 行生
1
1奈良医科大学神経内科
pp.487
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105407
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随意運動の解析の進歩には最近すばらしいものがある.これを運動学習に応用しようとする新しい流れがみられる.運動といえば大脳運動野から前角細胞,末梢神経を経て,筋への指令が伝わり,筋収縮をおこすことであるが,最近ではこの前後にいろいろな重要な現象が存在していることがわかってきた.
前角細胞への指令は特定の前角細胞を興奮させるが,拮抗する前角細胞を抑制したり,対側の四肢にも影響を与え,その他の四肢や躯幹にも運動支持状態を形成させる.一つの筋にも指令は一様ではなく,運動単位では相動性運動と緊張性運動の使いわけがおこなわれていることなどが判明してきた.即ち運動をする時に動作する筋のみに注目していては全体をうまく把握しえなく,一つの筋の訓練のみでは運動全体を向上しえないことの理論的サポートが生まれてきた.
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