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からだを動かすのは,いうまでもなく骨格筋の収縮により行なわれる。筋の収縮は運動神経線維を伝ってくるインパルスにより,言い換えればα運動細胞の興奮によりひきおこされるわけであるが,このα運動細胞は大別して二つの径路すなわち反射径路と,上位中枢からの下降径路により興奮する。随意運動は大脳からの指令により行なわれるが,これが正常に行なわれるのは反射径路が正常に機能しているときである。臨床例で脊髄後根—後角が傷害される脊髄癆患者で歩行がうまく行なえなくなったり,また動物実験でサル上肢の後根を切断すると,中枢神経系には何の傷害を与えなくても,物をうまく掴むことができなくなることなどが知られている。随意運動の発現に際して,下降性インパルスと,反射性インパルスがどのように影響し合うかの問題はしばらくおくとして,結局は最終共通径路であるα運動細胞の興奮により運動が行なわれる。α運動細胞の活動は筋に電極を刺入してmotor unitの活動電位を記録することによりうかがい知ることができるので,随意運動のようにその速度と発生させる張力を種々に設定して分析を行なおうとする場合にはヒトを実験対象とすることが最も適している。随意運動には錐体路系が重要な役割を果たしていると思われるが,この錐体路支配を最も強力に受けているのは手指筋と推定されている。
Abstract
This article summarizes recent works performed in our laboratory concerning volitional contraction of human muscles. Single motor unit discharges were recorded along the tension development until the maximum value was attained, and the recruitment and firing frequencies of the unit were analysed on healthy subjects as well as on cerebellar patients. Stiffness of tibialis anterior muscle was measured non-invasively using a device recently constructed in Prof. Matsumoto's laboratory. These methods of analysis provide useful tools to kinesiology.
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