Japanese
English
特集 随意運動のメカニズム
運動前野と随意運動
The primate premotor cortex
Steven P. WISE
1
,
丹治 順
2
P. WISE Steven
1
,
Jun Tanji
2
1Laboratory of Neurophysiology, National Institute of Mental Health
2北海道大学医学部第二生理学教室
1Laboratory of Neurophysiology, National Institute of Mental Health
2Department of Physiology, School of Medicine, Hokkaido University
pp.58-66
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905572
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I.運動前野(premotor cortex)という用語について
霊長類の前頭葉のかなり広い部分は運動の大脳皮質性調節に重要な役割を持つと考えられている。その領域は皮質4層のうち顆粒層を欠くことから無顆粒皮質と呼ばれているが,生理学的知見をもとに三つの部分に分けることができる。その第一は古典的な中心前回の運動野(あるいは一次運動野,MI)であり,その皮質表面や深部の電気刺激により系統的な体部位局在性の動きが誘発されることで定義されうる。第二の部分は補足運動野(MII)であり,やはり皮質の表面刺激により特有な運動を生ずることからその所在部位が決められてきた(Woolseyら,1952)。第三の部分はすなわちこの論文の主題であるが,MIIの外側でMIの吻側に位置する無頼粒皮質であり,運動前野(PM)と呼ばれている。
運動前野という概念はCampbell(1905)によって細胞構築をもとに導入されたもので,彼は前頭葉無顆粒皮質を2分して,それぞれprecentral cortexおよびintermediate precentral cortex(図1)と呼んだ(運動前野という用語そのものは用いていない)。Brodmann(1905, 1909)も前頭葉無顆粒皮質を2部分に区別し,4野および6野と呼称したが,彼は両者が機能的に関連が深く,おそらくは運動に関係した機能を持つとの考えを強調している。
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