Japanese
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特集 四肢麻痺
小児療育の立場からみた四肢麻痺,とくに頸髄障害に起因したものを中心として
Tetraplegia Caused by Cervical Cord Lesion on the Viewpoint of Pediatric Rehabilitation.
井沢 淑郎
1
Toshiro Izawa
1
1神奈川県立こども医療センター,肢体不自由児施設
1Institute for Physical Handicapped, Kanagawa Children's Medical Center.
キーワード:
小児療育
,
四肢麻痺
,
頸髄障害
Keyword:
小児療育
,
四肢麻痺
,
頸髄障害
pp.509-514
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105413
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はじめに
小児医療の領域では,“こどもはおとなを単に小型にしたものではない”ということがしばしばいわれる.このことは,小児は成人と異なって心身ともに常に成長,発達過程にあるため,その診療に際しては常にこのことを念頭におくべきことを示唆している.とくに四肢麻痺の患児においては,その麻痺が非恢復性,永続的な場合はもちろん,たとえ恢復性のものであってもその治療に長期間を要する場合が多い.したがって,その間に成長に伴なう二次的な問題や日常生活指導ならびに教育的措置など,これら患児に対する整形外科的処置やリハビリテーションの上で,成人とは趣を異にする面が極めて多く存在するということができる.
一方,小児に対する“療育”という言葉や概念は,後述するように“リハビリテーション”という語がわが国に導入される以前からすでに提唱され,実践されて来た.それゆえ,わが国における総合的なリハビリテーションは小児の分野において最初に芽ばえたということができる.このような意味から,ここでは“小児療育”すなわち“小児リハビリテーション”と解しておきたい.
以下,本稿では先ず小児四肢麻痺の原因と頻度ならびに主に頸髄障害に起因した四肢麻痺の特徴を述べ,次いで小児療育の立場から成人と異なる幾つかの問題についてふれてみたい.なお,ここでいう小児とは,児童福祉法の対象となる満18歳未満の児童を呼ぶことにする.
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