Japanese
English
研究と報告
脳炎および髄膜炎後遺症の運動機能の発達(回復)過程とその問題点
Motor Development of the Sequelae of Encephalitis and Meningitis.
野村 忠雄
1
,
辻 成人
2
,
河合 久子
2
,
滝沢 裕子
2
,
沢村 泰弘
2
,
平岡 慎一
2
Tadao Nomura
1
,
Narito Tsuji
2
,
Hiroko Kawai
2
,
Yuko Takizawa
2
,
Yasuhiro Sawamura
2
,
Shinichi Hiraoka
2
1金沢大学附属病院理学療法部
2石川整肢学園小児整形外科センター
1Division of Rehabilitation Medicine, Department of Orthopedic Surgery, Kanazawa University Hospital.
2Ishikawa Pediatric Orthopedic Center.
キーワード:
脳炎
,
髄膜炎
,
後遺症
,
運動発達
Keyword:
脳炎
,
髄膜炎
,
後遺症
,
運動発達
pp.515-519
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105414
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
小児の髄膜炎による死亡は,最近の抗生物質の進歩により極めて少なくなったとはいえ,その後遺症の発生頻度は依然高く,予後は必ずしも良いとはいえない1).しかも,一旦医師が「正常」と判断した児童が,年長になり種々の障害が顕在化することが多いなどの報告もあり2,3),長期の追跡と指導が重要である.一方,脳炎では起因ウイルスにより多少の差はあるが,死亡率は10~15%,後遺症の発生は15~25%とされている4,5).
このような脳炎および髄膜炎に罹患した小児に対する早期からのリハビリテーションは,未だ不充分であり,その方法は脳性麻痺児のプログラムに準じて行われているのが現状である.しかし,本症の運動,言語,知的面での発達(回復)過程は必ずしも一様ではなく,個々の症例において発症後早期に予後を推測することが困難な場合や,脳性麻痺児のリハ・プログラムが適切でない場合もある.しかし,個々の症例の予後を的確に把え,それにより治療方針を決定し,さらに両親へ適切な指導を行うことはわれわれにとって極めて重要な問題である.
今回,われわれは脳炎,髄膜炎後遺症児の発達(回復)過程のうち,特に運動機能に関してretrospectiveに検討し,本症の予後を臨床的に推測し得る因子について考察したので報告する.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.