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I.はじめに
中心前回の運動野より,さらに前方にも運動に関係する領野が存在することは,すでに前世紀末から知られていたが,そのうち運動野の前方で主として内側面を占める領野はとくに運動との関連が深いとされ,PenfieldとWelchは補足運動野supplementary motor areaと呼称した(PenfieldとWelch 1949,1951)。細胞構築学的にはBrodmannの6野の一部,Vogt & Vogtによる6aαに相当する無顆粒皮質で,大脳内側面の帯状溝より上部および帯状溝の上壁がその主要部分をなし,一部は外側面の数mmをも占めている。
補足運動野(二次運動野,MIIと呼ばれることもある)という呼称は,電気刺激による効果が運動野に比し不明確かつ閾値が高いことや,切除実験やヒトについての臨床医学的観察による知見に基づいた運動調節との関連についての解釈が運動野に比してより困難であることから用いられた便宜的なものであり,決してこの領野の運動発現への関与が補足的であることを意味するものではない。従来謎とされていたその機能が少しずつ解明され始めたのはごく最近のことであり,それは新しい手法による組織学的検索と,随意運動遂行中のニューロン活動の解析による生理学的検索のもたらしたものである。
Although it has long been known that stimulation of a portion of primate cerebral cortex rostral to the precentral motor cortex could produce movements of contralateral limbs and face, Penfield and Welch were the first to distinguish a secondary or supplementary motor area (SMA) from the primary motor area. The SMA lies within area 6 of Brodmann and in primates it corresponds largely to the mesial part of area 6 aα of the Vogts.
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