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I.随意運動とそれに先行する大脳皮質電位
随意運動は,意(意志)に随った運動(voluntary movement,willkurliche Bewegung)で,高等動物,とくにヒトの運動の中でも一方の極にあり,他方の反射運動(reflex)との間には連続的ともいえるほどさまざまな中間的な運動がある。ここでは,随意運動の例として,自己ペース運動または自発性運動(self-paced or self-initiated movement)と反応時間運動(reaction time movement)を取り上げる。いずれにせよ,随意運動というからには,少なくともその運動を遂行するか中止するかの決定(意志)の自由は存在すべきであって,それがなければ自動運動,またはいわゆる不随意運動の類などと区別がつかなくなる。運動が複雑であるとか精巧であることは必らずしも随意運動の条件にならない。
皮質運動野は大脳皮質における運動指令の主な出力部位と考えられる8,9)。この皮質出力が運動野でどのように形成されるか,大脳皮質の他の領野,皮質下核などを含めて,その運動指令の形成機序,すなわち運動の準備状態を中心に,随意運動の発現機構の考察を試みたい。本稿では,運動に先行する大脳皮質緩電位を取り上げて論ずることとし,運動中,運動直後の皮質電位には言及しない。
Cortical field potentials preceding self-paced (self-initiated) and reaction-time (visually initiated) hand movements were recorded in monkeys and analysed to study the central nervous mechanism for premovement organization of 'voluntary' movements.
Recording electrodes (silver wire of 0.25 mm diameter and insulated except at their pointed tips) were placed on the surface and at 2.5~3.0 mm depth (sometimes also at 1.0~1.5 mm depth) in each locus of the cortex and fixed to the bone by dental cement. Such electrodes wereimplanted in 10~20 various areas of bilateral hemispheres and used for several months.
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