巻頭言
リハビリテーション医療と健康保険―Cureの点数からCareの点数へ
廿楽 重信
1
1都立北療育園
pp.925
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105291
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日本リハビリテーション(リハ)医学会は,昨年20回という記念すべき年を迎えた.俗に「十年一昔」といわれていることからすれば,二昔を経過し,成人の領域に成長したことになる.この間認定医および専門医制度が出発し,リハ医学会における発表は,昔と格段の差が見られ,幅広い内容の濃いものになってきた.このことは御同慶のいたりである.しかしながら80ある医科大学の内,リハ医学の講座のある大学は未だ極めて少ない.本邦におけるリハ医療の現状を見ると,リハ診療科を置く医科大学は漸次増えてきたものの,整形外科学の亜流のような診療がなされているようにみうける.またリハ病院と名のつく病院もみられるようになってきたが,その内容は,老人内科あるいは運動療法科といった狭い範囲でのリハ医療を実施しているにすぎないようにみうけるのは,筆者の認識不足であろうか?
本来,リハ医学は科学としての医学の進歩からみれば最先端の医学であり,医学各科に必要な医療であろう.私が専攻するの小児科学をみても,医学の進展により,小児医療の内容は,急性感染症から慢性のHandicapを有する小児の診療へと変容し,故高木憲治先生のいわれた“療育”すなわち現今いう(リハ)医療が欠かせなくなって来ている.先天的に障害を有し,出生してきた児も成人期まで生命が保たれるようになり,故高津忠夫教授が提唱された“成人小児科学”の概念でとらえねばならぬ疾患が多くなってきた.成人にしても高齢化が見られ,各種疾患罹患後も寿命が延長されるようになってきた.
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