病院の少子化対策
CureからCareへ
森田 潤
1
,
冨永 喜久男
1
1麻生飯塚病院小児科
pp.1082-1083
発行日 1995年11月1日
Published Date 1995/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901657
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飯塚病院は,九州の産炭地の中心であった飯塚,嘉穂,山田,田川を診療圏(人口約40万)とする25の診療科を持つ総合病院である(医師146名,従業員総数1,227名,病床数1,157床).小児科は,小児の人口減少とともに医療過疎が進んでおり,他病院での病床の廃止,診療科目の削除,勤務医減少が続き,飯塚市小児科開業医の平均年齢は60歳を超えた.小児科医を目指す医学生が少なくなっているのもうなずける有り様で,研修医に“安心して小児科医になれ”とは言えず,このことは“安心してこどもを育てて下さい”と母親に言えなくなるのでは,と危惧している.その象徴が新生児医療ではなかろうか.本院でもNICU設置は採算がとれず困難と考えられ,他地域の病院に新生児医療を頼っているのが現状である.こうした情勢の中,筆者の一人が赴任した平成5年度より外来医療の見直しを進め,6名の小児科医のうち2名を日勤の外来に固定とし,特殊外来の充実を図ったことにより外来受診者(平均187名/日),のべ入院患者数(43名/日)とも増加を示し(図),小児科単独で黒字を経常している.患者の病院志向の強さが背景にうかがわれる.病院の小児科が地域の“子育て環境”を守るためには,以下の3つの状況を把握し,如何に解決策を実行に移せるかにかかっていると思われる.
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