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はじめに
最近の義足に関するトピックスは,骨格義足,モジュール化,義足材料の多様化,和式生活に適した義足などであり,正常歩行になるべく近い歩行,正常に近にコスメーシス,装着感の改良,良質のサービス,故障しない義足などの,切断者の義足に対する要求に答えようとしている.
義足の三要素は,ソケット,コンポーネント,アライメントであるが,ソケットに要求される役割は6),断端の気持ち良さ,体重支持,義足の懸垂,ソケット内における切断端の不動性と安定性である.
戦後四辺形全接触式吸着ソケットの普及にともない,成型のしやすさ,耐久性などにすぐれたプラスチックソケット7)が広く用いられている.しかし高温多湿のわが国では,古くから通気性,吸湿性のあるソケットへの要求があり,open end socket装着者が,吸着ソケットをきらう理由のひとつになっている.
とくに夏季,断端の発汗対策が望まれ,合成樹脂を素材とした通気性のあるソケットの研究開発が,エポキシレジン,ライトキャスト,ヘキセライト8),ポーラス9~12),ウレタン13)などを用いて試みられている.青山は,不織布にウレタンプレポリマーをしみこませたcasting bandageを用いて,ギプスソケットの要領で製作する多孔質ソケットを発表し,他素材にくらべて吸湿性,通気性にすぐれ強度耐久性のある軽量ソケットを簡単に製作でき実用的であると報告し,股義足,下腿義足,大腿義足に適応があるとしている.
過去天然素材のみが持つ肌ざわりのよさと,多少の通気性吸湿性のあることで木製ソケットが紹介され,一部採用されている.ヨーロッパ大陸とくにドイツ,ソ連では現在でも木製ソケットがかなりの%で製作されている.われわれは,大腿義足を中心として100例以上の木製ソケットを処方してきたが,今回プラスチックソケットと木製ソケットの両方を経験した切断者を中心に,木製ソケットの使用感をアンケート調査したので,木製ソケットの製作法とともに述べる.
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