書評
―砂原茂一(国立療養所東京病院) 上田 敏(東京大学) 対談―ある病気の運命:結核との闘いから何を学ぶか
横山 巖
1
1七沢病院
pp.698
発行日 1984年9月10日
Published Date 1984/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105242
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この書は,かつては人類最大の天敵であった結核の栄枯盛衰を物語る壮大な叙事詩である.リハビリテーション医学の専門医の上田氏が,結核の第一人者であり,リハビリテーション医学にも御造詣の深い砂原先生から話を引き出す形で進められているが,上田氏は吾々が聞きたいと思う事を的確に質問して,砂原先生の蘊蓄の一部を引き出すことに成功しているので大変興味深い書となっている.
結核の歴史,障害者としての結核患者の実態,結核の予防,診断および治療の変遷,化学療法等々,結核のすべてが語られている.思えば,ストレプトマイシンが発見されるまで,結核に対する治療は随分と廻り道をしたものである.砂原先生の言われるように,いわば,木を見て森を見なかったがゆえに,肺結核の治療のために,人工気胸,胸廓成形術等によって沢山の呼吸機能障害がつくられてしまったのであった.
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