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はじめに
車椅子は身体障害者の最も代表的なリハビリテーション機器であり,すっかり馴染になったシンボルマークに憩徴されるようにわが国にも定着したかの感がある,他の機器と同様に車椅子も機械としてのhardwareと人間サイドのsoftwareの両面から検討されるべきである.hardwareについてはわが国では昭和46年に制定され昭和52年8月に改正された車椅子JIS規格(JIS T 9201-1977)1)が唯一のものである.
一方,国際標準化機構(I.S.O. )ではTC 136(家具専門委員会)のSC 8(病院用家具に関する分科委員会)で手動ならびに電動車椅子の国際規格制定のための作業が行われてきたが,日本からは誰も参加していなかった.1978年に新しくTC 173(リハビリテーション機器システム専門委員会)が設立され,日本はPメンバー*1)として日本リハビリテーション医学会が国内審議団体になっている.TC 173には5つの分科委員会があるが,このうちSCはそれまでのTC 136/SC 8の業務を受継いで車椅子・電動車椅子の標準化に関する研究が活発に行われている.すでにTC 173/SC 1は1981年5月(オランダZeist)と1982年11月(アメリカLos Angeles)の2回の会議をもっており,いずれの会議にも日本から南久雄氏(兵庫県リハ・センター)が出席しておられる.
I.S.O. の車椅子の標準化に関する動向はわが国では殆んど知られていないため,本稿ではそれらの紹介も兼ねて主として手動車椅子のhardwareに関する事項について述べてみよう.なお車椅予の用語についてはJIS T9201ならびにJIS T 0101-1980福祉関連機器用語(義肢・装具部門)2)で定められているものを原則として使用することにした.
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