Japanese
English
講座 リハビリテーション医学の評価法(7)
高次神経機能の評価―その1.失語
Assessment of Higher Cortical Functions. 1. Aphasia.
綿森 淑子
1
Toshiko S. Watamori
1
1東京都老人総合研究所
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology.
キーワード:
失語症
,
失語症検査
Keyword:
失語症
,
失語症検査
pp.771-776
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104804
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はじめに
失語症の評価は①患者の症状の直接的な観察,および②関連分野ならびに家族からの患者に関する資料の入手,を通じて患者についての情報を収集し,患者を取りまく家庭的・社会的環境の中で,その障害を総合的に判断する過程である1,2).たとえ言語機能そのものの障害(impairment)が同じであっても能力障害(disability)および社会的不利(handicap)は異なる可能性がある.しかし,機能障害の評価が適切に行われてはじめてこれと密接な関連を持つ,能力障害および社会的不利の評価もそれだけ的を得たものとなり,したがってより有効な治療訓練法の開発への道が開かれることになる3).失語症のタイプおよびその重症度は,失語症の予後と極めて関連が深いからである4).本稿では,失語症患者の機能障害の評価の中心をなす失語症検査に的を絞って述べることにする.
失語症の検査法は,その目的により大きく3つに分けることができる.第1は,臨床的なスクリーニング検査である.主として初診時に失語症の有無,大まかなタイプ診断を行うためのものである.第2は,系統的な失語症検査法である.これは実施にかなりの時間を要することもあり,発症後1~2ヵ月を過ぎ,全身状態が安定した時点で行うのが普通である.第3は実験的な検査である.これは失語症状の基盤をなす障害機構の解明を目的としている.
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