Japanese
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特集 脳卒中の機能障害―評価を中心に
失語症の評価―WAB失語症検査を中心に
Evaluation of Aphasia by Western Aphasia Battery (Japanese Edition)
杉下 守弘
1
Morihiro Sugishita
1
1東京大学医学部附属音声言語医学研究施設
1Research Institute of Logopedics and Phoniatrics, Faculty of Medicine, The University of Tokyo
キーワード:
失語症
,
失語症検査
,
WAB失語症検査
Keyword:
失語症
,
失語症検査
,
WAB失語症検査
pp.1151-1155
発行日 1996年12月10日
Published Date 1996/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108257
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はじめに
失語症の研究は脳の言語メカニズムを解明するうえで多大な足跡を残してきた.失語症の症状を捉えるために,古くからいろいろな試みがあったが,Lichtheim(1885)の検査に端を発する型の失語症検査がもっとも多く用いられている.この種の検査は8つの言語側面,すなわち,自発言語,話し言葉の理解,復唱,書き言葉の理解,音読,自発書字,書き取り,写字などを検査する.
言語といえば音韻,語彙,意味,文法などの検査が考えられるが,それらを行わず,言語の8側面を検査する方法が行われてきた理由は,8側面のうちどれとどれがどのように障害されているかというパターンから失語症を分類することができ,さらに大脳損傷の部位の推定ができるという長所があったからである.たとえば,自発話,復唱,音読,自発書字,書き取りなどが重度に障害されているが,話し言葉の理解や読解の障害は軽度な場合はブローカ失語に分類され,前頭葉の損傷が考えられる.
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