Japanese
English
研究と報告
脳血管障害における麻痺性嚥下障害―スクリーニングテストとその臨床応用について
Dysphagia Paralytica in Cerebrovascular Disease: Screening Test and its Clinical Application.
窪田 俊夫
1
,
三島 博信
1
,
花田 実
1
,
南波 勇
1
,
小島 義次
2
Toshio Kubota
1
,
Hironobu Mishima
1
,
Minoru Hanada
1
,
Isamu Nanba
1
,
Yoshitsugu Kozima
2
1中伊豆リハビリテーションセンター
2浜松医科大学
1Nakaizu Rehabilitation Center.
2Hamamatsu Medical University.
キーワード:
水のみテスト
,
臨床応用
Keyword:
水のみテスト
,
臨床応用
pp.271-276
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104702
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
脳血管障害(以下CVDと略す)には,核上性舌・咽頭・口唇麻痺(仮性球麻痺),時には脳幹障害による核性麻痺の一つの症状として,軽度のむせ現象(choking phenomenon)より嚥下不能に至る様々な段階の麻痺性嚥下障害(Dysphagia Paralytica,以下DPと略す)が認められる.この障害の管理は積極的な運動療法を受け入れるに必要な基礎的体力と密接な関連があるため,神経因性膀胱の管理とならび,いわば導入期のリハビリテーション(以下リハと略す)プログラムの一つとして重要な位置を占めている.CVDの急性期には,意識障害が殆どない症例にも,多かれ少なかれDPが認められるが(early dysphagiaと呼ぶ),自然回復期間の経過後にも治癒の遷延化したDP(以下late dysphagiaと呼ぶ)の症例が可成り多く存在している.この様な症例では,日中の食事の際に起こる誤嚥または睡眠中に唾液が喉頭内に流入する結果,夜間咳喇発作1)を招き,睡眠が障害されることがあり,嚥下性気管支炎2)の併発と相俟って,リハ・プログラムの実行を著しく阻害することがある.この様に管理上重要度が高い割には,麻痺性構音障害にくらべ検査法,治療プログラムについての検討が十分なされてはいない傾向がうかがわれる.この様な観点に立ち本稿ではCVDのDPの有無を簡便に知ることができるスクリーニングテストとその臨床応用について述べたいと思う.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.