連載 歩行と動作の計測機器・第6回
脳性麻痺児の歩行分析—身体機能計測から機器選択,地域連携まで
木元 稔
1,2
Minoru Kimoto
1,2
1秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
2秋田県立医療療育センター リハビリテーション部
1Department of Physical Therapy, Akita University Graduate School of Health Sciences
2Department of Rehabilitation, Akita Prefectural Center on Development and Disability
キーワード:
IMU
,
マーカーレス
,
信頼性と妥当性
,
臨床応用
,
地域連携
Keyword:
IMU
,
マーカーレス
,
信頼性と妥当性
,
臨床応用
,
地域連携
pp.641-644
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530060641
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歩行分析の必要性
脳性麻痺(cerebral palsy:CP)児では痙縮,筋力低下,選択的運動制御障害などから,拘縮や骨変形といった二次障害を来し,歩行に異常を呈する.これらの機能障害を治療するため,整形外科的に複数の解剖学的レベルを手術する多部位手術(multilevel surgery:MLS)が行われる.しかし,心身機能の評価だけでは,異常歩行の詳細なメカニズムを把握することは難しい.三次元歩行解析(three-dimentional gait analysis:3DGA)をはじめとする歩行の定量的データを用いることで,精度の高い治療計画が可能になる.実際,無作為化比較試験においても,歩行分析に基づいた手術計画を行ったグループでは,より良好な歩行機能の改善がみられている1).さらに,歩行分析の方向性は治療方針によっても異なる.解析結果を医療チーム全体で共有し,それを踏まえて治療目標を設定することが,CP児の治療における地域連携の基盤となる.
以下に,CP児における歩行分析の手法と,その活用について具体的に解説する.

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