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はじめに
1981年は国際障害者年であった.いろいろな面で身障者への福祉が見直され,彼らの活動範囲もぐっと拡がってきた.今後は身障者の社会への進出はめざましいものがあるであろう.従来病院の一室や家庭内に行動を制限されていた身障者も,自力でどんどん市中に出て行かなければならない.公園へ行く,音楽会へも行く,デパートにも行く,また新幹線にのって遠くへ旅行するというように,彼らの活動範囲がどんどん広まっていくことは間違いない.そういった機運に促されて最近でこそ社会においても,身障者の行動に対して受け皿ともいうべきいろいろな施設や機械が開発され始めている.やれ身障者用のトイレとか,昇降用のエレベーター,また最近は彼らのための自動車や運搬車などの開発も行われている.これからは身障者といえども,一人で車椅子をあやつって街に出て坂路をおりなければならない,バスにも乗らなければならない,また一人で踏切りも渡らなければならない.しかし従来のように病院の一室で訓練したり,狭い自宅の部屋に閉じこもっていた患者が急にパッと戸外に出ても,果たして戸外のいろいろな活動に適応出来るであろうか.新聞紙上で身障者が車椅子の車輪を線路の間隙におとしこんで危険にさらされたということも報じられている.狭い一室ばかりにいた患者が急に青天井の広い空間にふみ出しても恐らく十分な歩行も出来ないであろう.要は現在の一般医療におけると同様に,現代のリハビリテーションの世界においては,病院または家庭と社会の橋渡しとなるような施設のないことが大きな問題である.当院はかかる事情を考えて,1977年11月,保健センターを設立したが,その際リハビリ部門の増強をはかり,わが国でも珍しい屋外リハビリテーション施設を作り,それと同時に心肺機能訓練室など内科系リハビリテーション施設の充実をはかったので,その概要を説明する.
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