Japanese
English
特集 脳卒中のリハビリテーション
Ⅲ.片麻痺の医学的リハビリテーション・プログラム
上肢機能回復促進
The Recovery of Upper Extremity Function in Hemiplegies.
石田 暉
1
,
千野 直一
1
Akira Ishida
1
,
Naoichi Chino
1
1慶応義塾大学医学部リハビリテーション科
1Division of Rehabilitation, Keio University School of Medicine.
キーワード:
片麻痺
,
促通
Keyword:
片麻痺
,
促通
pp.113-120
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104681
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はじめに
片麻痺に対するリハビリテーションのアプローチの中で促通(facilitation)あるいは抑制(inhibition)を用いたテクニックはどの様な形で機能回復に影響を与えるのであろうか.
この命題に対する的確な回答は未だ得られていない.
錐体路を障害された場合,錐体外路を中心に新しい神経路を創造する必要があると説くKabat11)や,病的な状態に起こるいかなる反射も,正常と変わる事はなく,ただ抑制機構が働かないために反射が出易くなっているとし,これを正しく利用し機能を高めようとするFayら6)のアプローチがある.これらはリハビリテーションのアプローチの中でも機能障害(impairment)そのものへのアプローチといえる.一方,Birchら1)は,一旦脳に障害が起こるとその回復は困難で,リハビリテーションとしては,もっぱら残存機能を利用促進し,患者の自立度を高める事であると述べている.これはむしろ能力障害(disability)に対するアプローチといえよう.さらに社会的不利(handicap)に対するアプローチを加えると,脳卒中のリハビリテーションには多方面からの治療が必要といえる.
本稿では主に,機能障害を中心に,とくに上肢に対する回復促進の方法について述べる.
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