床上動作から歩行まで

From Mat Exercise to Abulation.

はじめに

　脳卒中のリハビリテーション（以下リハと略す）において，床上動作から歩行までは，患者にとって脳血管障害という生命をも脅かす疾患の体験と，麻痺の回復という機能回復への希望をつなぐ大切な時期であって，この時期に適切なゴールを決め，リハ治療をうけることは，早期社会復帰に欠くことができないばかりでなく，同時に効率よいリハ資源（施設やスタッフ）利用という点からも是非必要である．障害受容もないまま，いたずらに長期治療を続けることは国家的損失といっても過言ではない．特に人口が老齢化傾向にある我が国では，これからリハ・プログラムに責任を持たねばならなぬ私達が考えてゆかねばならない問題である．床上動作から歩行までのリハ・プログラムの進め方と直面する種々の問題点について述べてみたい．