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はじめに
最近リハビリテーションの分野において,新しい治療法として,パイオフィードパック(Biofeedback)が用いられるようになった.その中で,現在,臨床上,最も有効とされているのは,筋電計(以下EMGと略す)を用いてのパイオフィードパック治療法である.その他にも,生物電気的(Bioelectric)な反応を利用して,高血圧,偏頭痛,不整脈,てんかん等の治療にも応用されてきている1,6,7).
EMGは従来より,神経筋疾患の有力な診断法として用いられてきた.1960年代に入って,麻痺筋に対し,視覚,聴覚より得られるシグナルをフィードバックする治療方法が再認識され始めた.
MarinacciやHorande2)らが各種,中枢・末梢神経疾患に対し,EMGを用いたバイオフィードバックを行ったのを始めとし,片麻痺患者への応用は,表1に示すとおりである.
Andrewsら3)は,20名の片麻痺患者で,発症より1年以上経過し,かつ運動療法を十分受けたが,効果が得られなかった者を対象とした.その方法は,麻痺側の上肢筋より針電極で筋活動電位を導出し,1分から5分のフィードバックの療法を行った.20名のうち17名に,治療直後に有効性が認められたが,長期間の効果についてはあまり述べられていない.
JohnsonとGarton4)は10名の片麻痺患者の麻痺性尖足に対し,足関節背屈筋にパイオフィードパックを施した.その結果,5名は従来使用していた短下肢装具を使わなくても歩行できるようになり,残り5名も足関節の随意的背屈が容易になった.この報告の特徴は,退院後,家庭で使用できるポータブルのフィードバック器械を用いた事と,効果の判定を装具よりの離脱という機能的な面においた事である.
Peper5)は片麻痺患者の上肢に対し,麻痺筋への筋再教育と,痙性の強い筋肉への筋弛緩を,バイオフィードパックを用いて行った症例を報告している.
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