Japanese
English
特集 脳卒中治療―最近の話題
リハビリテーション
上肢機能障害
Impairment of upper extremity after stroke.
道免 和久
1,2
Kazuhisa Domen
1,2
1兵庫医科大学リハビリテーション医学教室
2NPO法人リハビリテーション医療推進機構CRASEED
1Department of Rehabilitaiton Medicine, Hyogo College of Medicine
2Organization for Clinical Rehabilitation with Advanced Science and Effective Education
キーワード:
片麻痺
,
CI療法
,
脳の可塑性
Keyword:
片麻痺
,
CI療法
,
脳の可塑性
pp.1145-1151
発行日 2006年12月10日
Published Date 2006/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100427
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忘れ去られた上肢機能障害
日本のリハビリテーション医療では,脳卒中片麻痺上肢機能のリハビリテーションは完全に忘れ去られたテーマであったと言っても過言ではない.神経科学の進歩,脳の可塑性の理解,運動学習理論の発展などさまざまな基礎研究の成果が,リハビリテーション医療に全く反映されていない.まず,その背景を論じたい.
これまで,日本のリハビリテーション医療は,ワンフレーズスローガンによって翻弄されてきた.「健側強化」,「車椅子からの脱却」,「パワーリハビリテーション」,「生活機能重視」,「病棟リハビリテーション」,「ICF」,「ADL至上主義」,「長期にわたる効果のないリハビリテーション」などのスローガンが次々に出されてきた.いずれの言葉にも真理があろう.政治的には成功したかもしれない.しかし,過ぎたるは及ばざるが如しである.そもそも学問的真理が,数年単位でコペルニクス的転回を生じることはあり得ない.新たなアプローチを行うためには,科学的に慎重な吟味が必要である.まして制度や政府の事業として導入するのであれば,患者の声を聞き,幅広い専門家のコンセンサスを得ながら開始すべきであろう.
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