Japanese
English
研究と報告
脳性麻痺児の発声発語障害の分析
Analysis of Disathria in Cerebral Palsy.
大貝 茂
1
,
岩本 宏之
1
Shigeru Ogai
1
,
Hiroyuki Imamoto
1
1北九州総合療育センター
1The Center of Developmental Medicine and Education in Kitakyushu City.
キーワード:
脳性麻痺
,
Speech-performance
Keyword:
脳性麻痺
,
Speech-performance
pp.799-803
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104625
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はじめに
従来,脳性麻痺(以下CPと略す)に伴う言語障害については,その障害の広範さからして,非常な難解さが論じられてきた.言語障害の一側面である発声発語障害の問題を考えてみても,CP児の場合には,複雑な要素が絡みあっている.正常な会話音声を構成する要素としては,調音が正確に保てること,発声のコントロール(声質,高さ,強さ,持続,共鳴)が正常であること,プロリディー(速度,リズム,アクセント,イントネーション)が適切であること等が考えられるが,CP児の場合,これらの要素のいずれにも影響が及んでおり,その障害される要素の組合わせによって,様々な種類の発声発語障害が出現している.このような複雑な様相を呈するCP児の発声発語障害について,一般的には,痙直型,アテトーゼ型,失調型といった運動障害に付随した特徴として述べられてきた.しかし,このような観点からは,CP児の持つ発声発語障害の多岐にわたる個人差は抽出できないし,正常な発声発語能力から,どのような側面が逸脱しているかということの把握があいまいになってくる.実際に言語治療を行うにあたっても,どのような要素が会話明瞭度の低下をきたしているのかを的確に把握し,治療の着眼点を定めることが,最も効率のよい方法であると考える.
そこで,今回私達は,CP児の会話の状態を調音(単音,短文),発声(持続,ピッチコントロール),プロソディー(速度)の観点から分析し,会話明瞭度の低下をきたす要因を明らかにすること,および,CP児の持つ障害像を,発声発語障害という立場から再編成することを試みたので報告する.
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