Japanese
English
研究と報告
脳性マヒ児の心理特性―5,6歳・片マヒ児の発達
The Mental Development of Spastic Hemiplegic Children.
広川 律子
1
,
両角 正子
1
Ritsuko Hirokawa
1
,
Masako Morozumi
1
1聖母整肢園心理部
1Seibo Seishien Hospital for Handicapped Children.
キーワード:
片マヒ児
,
心理特性
Keyword:
片マヒ児
,
心理特性
pp.901-907
発行日 1980年11月10日
Published Date 1980/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104425
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はじめに
脳性マヒ乳幼児の療育の場では,早期発見・治療とならんで,高次神経系の障害に関する基礎的研究の必要性が提唱されている.しかし,わが国での心理学からの脳性マヒ研究は,運動障害のタイプ・程度・年齢・精神発達その他の神経学的所見を総合的に把握したものではなく,脳性マヒ全般を概括するに止まり,むしろ心理主義的な傾向のつよいのが現状である.これは,対象児が若年であるため,障害像が発達とともに変化すること,また障害が運動や言語機能にもおよぶため,従来の心理学的手法が適用しにくいなど,方法上の困難さにも起因すると思われる.
一方,成人の脳血管障害と比較すると,その高次神経系の障害については,本研究でとりあげた痙直性片マヒ(Spastic Hemiplegia)児の場合,基礎的なレベルから研究がたちおくれているといえる.
われわれは,発達心理学の立場から,脳性マヒ固有の障害について,運動障害のタイプ別にその発達特徴を明らかにする試みをしている.つまり,障害部位や発生機序の達いが,心理的諸側面の発達にいかなる影響を与え,障害像を形成するかという問題意識をもっている.すでに,痙直性両マヒ児の発達特徴については,特有の傾向およびとりわけ顕著にみられた知覚―運動障害について報告した1).
本研究では,胎生期および周産期に原因をもつ先天性片マヒ児の発達特徴について,左―右マヒ群間の差異,成人片マヒ患者との比較などを中心に明らかにすることを目的とした.
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