展望
片マヒ患者のリハビリテーションにおけるリスク管理
服部 一郎
1
,
権藤 重雄
1
,
三木 康男
1
,
松浦 義男
1
,
細川 忠義
1
1福岡県長尾病院
pp.107-113
発行日 1971年4月9日
Published Date 1971/4/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100412
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はじめに
片マヒ患者は大部分が脳血管性発作によるものであるが,頭部外傷また脳腫瘍摘出などの脳外科的侵襲によっても起こる.このなかで日常最も遭遇するのは脳血管性発作であって,くも膜また脳橋の大出血のように急速に意識障害をきたし,深い昏睡に陥り数時間内に死亡する重症型から,患者自身発作の起こったことも自覚しないような軽症のものまで種々様々である.外傷性また脳手術後のものも同様に重症から軽症まである.
このなかで生命に関して予後の悪い徴候を示す重症型とごく軽症のものを除けば,ほとんどがリハビリテーションの対象となる.このなかで発作や外傷直後の急性期のものに対するリハビリテーションは,むしろリハビリ看護として看護婦の領域であるが,PTにとっても全く関係のないものではない.著者らの病院では急性期からPTが看護婦とともにチームを組んで病棟内で治療にあたっている.しかしこの小文では急性期を過ぎたもので,運動障害として片マヒを残し,しかも時期的に看護婦よりPTないしOTの手に移った以後のものに限定し,著者らのもつ症例を基としてリスク管理について述べたい.
ただこのリスク管理ではリスク防止ということが大きい比重を占めていて,しかもその責任というか守備範囲では,ここまでがPTでここからが看護婦ないし主治医といった区別をつけにくいので,PT・看護婦・医師を含めたチームを対象として述べることにする.
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