老景十二話・12 〈老い〉の中に世界が見える
左マヒ
三好 春樹
,
三好 京
pp.1430
発行日 1986年12月1日
Published Date 1986/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921602
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右マヒと左マヒ,即ち,右の手足がマヒするのと,左の手足がマヒするのと,どちらがいいだろうか,という質問をすると,ほとんどの人が‘左マヒの方がましだろう’と答える.左マヒなら利き手が残るし,失語症になることもないからである.身体や言葉というレベルで見れば右マヒの人の方が障害が重いように思われる.
しかし.“生活障害”というレベルで見てみると,左マヒ者の方がはるかに重いように思われる.失認,失行という症状で言われていることにも含まれるのかもしれないが,〈関係障害〉としかほかに言いようのないような症状の生じることがある.まわりの人たちとの人間関係がどうもうまくいかないのである.
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