巻頭言
障害児のための医療
高松 鶴吉
1,2
1北九州市総合療育センター
2足立学園
pp.171
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104119
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障害児を治療の対象として13年たつ,この13年の経験を一言でいえといわれれば,医療は障害児のもつさまざまな問題の一部分を,つまみ喰いしているにすぎないとの慨歎となってしまう.一般病院に問題解決を依頼しても,部分的かつ短期的には治療してくれるものの,所詮totalな子供として治療する見方をつくりえない.私達のように障害児を主対象としているものでも,肢体不自由のみならずさまざまな合併症に対しては単科では如何ともしがたいのである.
経時的にもそのことがいえる.症状の発見から固定化への時期に一般医療活動から連続してリハビリテーション医療活動にひきつがれるシステムは,とくに小児の場合全く形づくられていないといっても過言ではない.従ってほとんどの障害児は医療の場から一般社会へ放出され,あらためて教育・福祉のシステムから拾われ,対象化されているのが現実の姿である.
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