特集 奇形・障害児を出産した母と児への看護・Ⅰ
障害児および母親に対する医療の基本
月野 隆一
1
1紀南綜合病院小児科
pp.914-920
発行日 1987年11月25日
Published Date 1987/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207254
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
最近,医師・看護婦・患者の関係に何か変化が芽生え始めているような手応えを感じます。
従来の,医師中心主義医療の崩壊とでもいえましょうか。それは,病める子供(病める臓器といってもよいかもしれません)を人質にとったような医療,つまり病める臓器を手元に引き寄せ,医学知識を精いっぱい駆使し,治療第一主義をとり,その目的達成のためには,家族,他の医療従事者をこぎ使うということもなされがちでした。その反面,現代医学を支える近代医療機器,薬,手術で治療できない疾患に遭遇すると"治りません(医学の対象外です。私の役目ではありません,他へ行ってください。治らない患者の相手をしている暇はありません),私には治療を求める(治療のできる)患者が待っています"と,医療現場のドアを閉めてしまう。ドアの外の医療現場から取り残された患者のことはしらない。すなわち医師がすべての指示の中心となり,一方的に他へ命令する形をとっていました。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.