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はじめに
人工呼吸器の歴史は浅く,1926年PetrenとSjövalが呼吸麻痺を伴うポリオ患者にbarospiratorを使って3日間生存せしめたのが最初であったという27).1929年DrinkerとShawが今日の鉄の肺の原型を作製し13),同年WightmanとShaughnessyがDrinker respiratorで呼吸麻痺の治療に初めて成功した33).その後1950~1953年米国でポリオが大流行したが,当時respiratorは飛躍的に発達し,iron tankに加えてintermittent positive pressure respirator,cuirass respirator,rocking bed,intermittent abdominal compression respiratorなどが作られた.そして,その頃ポリオに罹患した肺活量ゼロに近い重症患者たちが,米国では今日も多く生存しているという驚くべき事実は,先に本誌に紹介した通りである25).
ポリオがほぼ絶滅した今日,当時発達した呼吸麻痺のリハビリテーション技術が,ギラン・バレー症候群や重症筋力症のみならず,頸髄損傷,進行性筋ジストロフィー,筋萎縮性側索硬化症などにも応用され,成果を挙げている.
わが国においては,1960年代になってBird respiratorが輸入され,麻酔科領域および急性呼吸麻痺の呼吸管理は著しく発展したが,しかし,長期呼吸管理の技術はリハビリテーションの概念がわが国の医療に定着していないためか,respiratorの種類も少なく米国などに比し相当遅れているように思う.
以下に,New York University,Goldwater Memorial Hospital(GMH)で行われている神経筋疾患による呼吸不全の長期管理について,多少の文献的考察を加えながら紹介と解説を試みたいと思う.なお紙面の制限上,非可逆性ないし進行性疾患に伴う呼吸不全の管理について述べ,最後に一例として頸髄損傷についてふれる.
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