特集 リハビリテーション医学教育
リハビリテーション医学を志して
尾賀 幹
1
1東京都養育院付属病院リハビリテーション部
pp.286
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103523
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リハビリテーションとは,人間を全体的見地から取り扱うのであれば,基本的には避けて通れる科目はないにしても,必然的にリハビリテーション医としての必修科目もいくつか重点的にしぼられてくると思われるが,今の私には医学教育について論議する資格もないし,一学徒として目の前の問題に一歩一歩取り組んでいくより手がない.リハビリテーション医に特に幅広い知識が要求されるとしても,やはり基礎が大切だし,繰り返しの学習の中から患者を全体的にとらえる余裕も出てくると思われるが,卒後研修の講習会や勉強会にも病棟を受け持っているため,交代で出席ということにならざるを得ないし,今は毎週1時間の部長の講義が貴重な時間である.
自分や家族の病気等で暫く現場をはなれ,むしろ一患者として,あるいはその家族としての立場にあった期間を通して,いつも「医学とは何のために発達したのか」という疑問さえ持っていた.どこかで患者をたらい回しにすることなく統一綜合的にとらえ,生への志向を手伝える分野が必要だし,患者にとって,それが一番望まれるのではないかと考えていたが,古い医学教育を受けた私にはリハビリテーション医学とは漠然とした観念の理解であり,理想であった.そして何も分からずに飛び込んでしまったが,リハビリテーション治療の現場に私の求めていたものが掴めそうな気がした.しかし実際に患者を前にすると,勉強しなければならないことが山積し,どこから手をつけてよいのかあせるばかりであった.とにかく勉強しなければと思うと,もう一度学生に戻り,始めからやり直したい気侍ちである.
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