特集 リハビリテーション医学教育
リハビリテーション医学を志して
江藤 文夫
1
1東大病院老人科
pp.280
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103521
- 有料閲覧
- 文献概要
近年,わが国では最新の設備を備えた立派なリハビリテーション施設がいくつか建設され,各専門スタッフの人員もかなり補充されつつあると聞く.それらは世界有数の建築施設と最新機器を備え,その豪華さは都内に次々と建設される高層ビルディングに似て,わが国の経済力を反映したものであろう.しかし,実際には寝たきりになるかならないかの患者は,十分にそれらの施設の恩恵に浴せないこともあるような話を聞く.
リハビリテーション医学(以下リハ医学と略す)の定義を一言で言い表わすことは困難であろうし,自分自身,未だ志して日が浅くその答を作っていないし,当分作ろうとも思わない.ただ,従来の臨床医学の中で欠けていた部分を補う新しい分野であり,患者の能力障害disabilityを主な対象として,その改善のための医学的アプローチを試みることを念頭におき診療に当たっている.一人格としての患者の総合的治療comprehensive careの一端を担当しているわけで,現在は大学病院の中で,脳性麻痺児から痴呆老人までの各年齢層にわたって,様々な疾患を診ている.リハ医学で扱う疾患の種類は多様である.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.