Japanese
English
特集 リハビリテーション医学教育
リハビリテーション医学の卒後教育を考える
The Post-graduate Education of the Rehabilitation Medicine
上田 敏
1
Satoshi Ueda
1
1東大病院リハビリテーション部
1Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital.
キーワード:
卒後教育
,
レジデンシイ
,
affiliation
Keyword:
卒後教育
,
レジデンシイ
,
affiliation
pp.281-285
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103522
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
リハビリテーションに従事する専門の医師の不足が叫ばれてから久しいし,PT,OTの不足にもまして医師の不足は絶望的ともいえるほどだという感が一般的なようである.しかし,やはり時代の波はあらそえぬもので,このところ,若い医師でリハビリテーショ医学を志す人たちが徐々に,しかし確実にふえはじめてきている.いわばほぼ10年前の,アメリカ留学生たちを主とした「第1世代」のリハビリテーション医たちの播いた種が,ようやくにして芽を出し,葉をひろげはじめてきたとも感じられるのである.
ところでこのような「第2世代」の医師たちから,しばしば訊かれる質問に「リハビリテーション医学を勉強するのなら,やはり早くアメリカに行ってきた方がよいのではないでしょうか,それとも日本でも十分勉強できるものでしょうか」というものがある.10年前であったならこの質問への答は簡単であったろう.12年前の私は自分にこの問を出し,それに“Yes”と答えて留学の途を選んだのだから.
しかし今はちがう.相手にもよるが,このような問にはなかなか直截な答が出しにくい.“Yes,but……”か“No,but……”か,いずれにせよ大変歯ぎれの悪い答になってしまう.そして結局はかなりの時間をかけて,色々な角度から問題を説明し,白分で結論を出してもらうという羽目におちいるのである.
どうしてそうなるのか.それを考えるところからこの小論を始めることにしたい.なぜならこの質問の中にわが国のリハビリテーション医学の卒後教育を考える手懸りが萌芽的に沢山含まれているように思われるからである.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.