巻頭言
リハビリテーションを志す学生の教育にたずさわって
畠山 卓朗
1
1星城大学リハビリテーション学部
pp.495
発行日 2004年6月10日
Published Date 2004/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100588
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筆者は新設されて2年経過した大学に勤める駆出しの教員である.28年間にわたるリハビリテーションエンジニアとしての臨床経験を活かした教育を実践したいと考え,「支援技術」(Assistive Technology)のテーマを中心に据えて,独自の授業を行っている.その背景として,前の職場である横浜市総合リハビリテーションセンター企画研究室での15年間の訪問サービスをベースにした実践が私に強く影響を与えている.
教育の世界に身を置いて真っ先に感じたのは,比較的低学年から理学療法,作業療法といったように専門分化して教育場面が用意されていることである.これは現場感覚からすると違和感があった.すでにこの時点で縦割りが始まっている.実際の臨床現場では,さまざまな支援スタッフが協力し合い,時には専門性の垣根を越えて議論をしながら問題解決にあたる必要がある.一方,教育場面では専門性における違いや共通点を学生自らが感じとる機会が少ないまま教育が進められていく.果たしてこのまま進めば,一人の利用者をモザイク的にしか捉えることができない支援者が育っていくのではないか.これは私が属している教育機関だけではなく,多くの教育機関に共通して見受けられることである.
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