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はじめに
昭和45年,第6回日本リハビリテーション医学会総会でわれわれは「身体障害者と自動車免許について」と題して昭和36年(1961年)以来の当センターにおける訓練状況について第1回の発表を行った.以後数回にわたりその後の経過を研究会や紙上に発表する機会を得たが,今回はさらに最近の身障者の自動車に対するニードが高まり,さらに肢休不自由者ばかりでなく,重度聴力障害者にもその適応が拡げられるか否かの研究にまで予算がついたのと昭和50年2月1日以降,新しい車種の表現や変更や免許制度等に新たな改変があったので一応これまでの報告をまとめて発表することにした.
各種肢体不自由者の中で特に身障等級3級以上の比較的重症の身障者の機動力を増し,活動範囲を増大することは社会復帰のためのリハビリテーション(以後リハと略す)サービスの一助として身障者用の自動車運転免許証を所持させるための訓練がいかに必要であるかは論をまたない.現在日本における身障者で自動車運転免許を取得しているものは約10数万人といわれ,現に身障者自身で車を所有しているものも年々増加して7万余台に達している.そして当国立身体障害センターにおいても修了生約1,800名のうち免許証所持者は約47%,850名で車の保有者はその79%の670台に達している(昭和49年調).なお,最近,身障者を取り扱う教習所も各都道府県にできて現在約80ヵ所に及んでいる.
本来身障者用の自動車について考えるとき,障害者側にある種々な問題,解剖学的,生理学的,整形外科的,精神心理学的,内科的等の問題と一方自動車側にある機械工学的,人間工学的な問題についてはリハの諸種のサービスの中でリハチームが真剣にとり組み,その解決への努力をせねばならない今後への問題を多く残している.われわれはここに昭和49年(1974年)末までの当センターの現況と傾向をその統計的資料に基づき種々検討を加えて日本の身障者の自動車免許制度について論じてみたいと思う.
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