特集 看護士の役割を考える
これからの看護士の役割—その教育制度・免許制度の改正に向けて
藤野 邦夫
1
1都立世田谷リハビリテーション・センター医療科
pp.135-140
発行日 1978年2月1日
Published Date 1978/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918320
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はじめに
我が国の看護婦不足は慢性化の傾向をたどり,医療従事者の大半を占める看護婦不足が病院の開院を遅らせ,病院規模の縮少に追い込むなど,社会問題となっている.これらの対策のため,国や地方自治体は看護婦教育に多額の費用を投じ,新卒看護婦を社会へ送り出すための努力をしている.しかし彼女らを迎える社会は意外に厳しく,女性労働者としては例外ともいえる夜間労働を伴う3交代勤務,人の生命を預かる緊張した場面の連続など,肉体的にも精神的にも負担の大きい業務が待っているのである.
肉体的に余裕のある若い時代は,これらの負担に耐え,職業的誇りに支えられているが,それに結婚,家事労働,育児と加わった時,女性労働者としての誇りである看護が,皮肉にも女性であるがために継続できないという悲哀に変化しているのが現状である.
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