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編集後記
鹿
pp.990
発行日 2005年10月10日
Published Date 2005/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102801
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郵政民営化の決着をつけると言って行われた衆議院選挙は賛成側の圧勝で終わったが,さらに勢いがついてあれもこれも民営化だということになるのか? 民営化は企業化ということだが,そこで思い出すのが数年前のバブル当時の大企業のモラルと定見の無さ.そして,巻頭言に書いてあるような「クリーム・スキミング」というおいしいところだけをすくいとるやり方が利益至上主義の企業の宿命なのだと考えれば,諸手を挙げてなんでも民営化賛成というわけにはいかない.「社会的共通資本」としての医療や教育まで市場自由化の波に晒されては困る.ところで,今年の1月に「どうする日本の医療」と題して行われた第26回日本医学会ポストコングレス公開シンポジウムの内容が「臨床整形外科」誌(05年9月号)に紹介されているが,そこで近藤克則先生をはじめとするパネリストが共通して「医療費抑制政策は医療の荒廃を招く」ことを強調し,基調講演で宇沢弘文先生は「経済に医療を合わせるのではなく,医療に経済を合わせなければならない」と言っている.
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