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Q1 高血圧診療の最近の話題は?
日本での高血圧治療の現状としては,aliskirenに代表される新しい降圧薬と,併用療法を推進するための合剤が多数出てきていることがある.高血圧の治療というのは,単に血圧をコントロールするだけでなく,臓器保護という点にも焦点が置かれているため,臓器障害を早期に発見して確実に治療するという目的で,日本高血圧学会(Japanese Society of Hypertension;JSH)2009などのガイドラインが作られている.米国のJoint National Committee(JNC)ガイドライン8が2003年発行のJNC 7以来発行されるが,臓器障害の予防にも重点が置かれているといわれる.
レニン阻害薬(direct renin inhibitor;DRI)であるAliskirenの最大のメリットは,レニン-アンジオテンシン(renin-angiotensin;RA)系を最上流のステップでブロックできること(図1)と,レニンの阻害作用が強く長いことである.組織への移行性が高く,特に組織内でのRA系を十分に抑制できる特徴をもつため,降圧作用に加えて,心臓保護作用や腎臓保護作用を今まで以上に期待できる薬剤といえる.欧米でのAliskiren Observation of Heart Failure Treatment(ALOFT)研究1)やAliskiren in the Evaluation of Proteinurea Diabetes(AVOID)研究2)ではそれぞれ心臓,腎臓保護作用が示されており,国内研究でも同様の多面的作用(pleiotropic effect)をもつかが焦点となっている.まだ非常に新しい薬剤であるため,長期のエビデンスという意味では十分でないが,併用療法を行ううえでも非常に重要であると考えられる.RA系を十分抑制するという意味では,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱ receptor blockers;ARB)とDRIの併用は代償性レニン上昇を抑えるという点でよい結果が得られる可能性があるが,もう少しエビデンスが必要といえる.
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