Japanese
English
実践講座 知っておきたい薬の知識・3
循環器系の薬剤
Medical treatment of circulatory system.
松元 秀次
1
,
川平 和美
1
Shuji Matsumoto
1
,
Kazumi Kawahira
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科運動機能修復学講座機能再建医学(リハビリテーション科)
1Department of Rehabilitation and Physical Medicine, Faculty of Medicine, Kagoshima University
キーワード:
脳梗塞
,
降圧薬
,
抗血小板薬
,
抗凝固薬
Keyword:
脳梗塞
,
降圧薬
,
抗血小板薬
,
抗凝固薬
pp.769-775
発行日 2006年8月10日
Published Date 2006/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100358
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はじめに
循環器系の薬剤は作用機序から,血管拡張薬,抗凝固薬,強心薬などに分類され,また適用疾患からも,高血圧,狭心症,不整脈など多種である.本稿では,脳梗塞の一次予防,二次予防ならびに治療に関する薬剤に対象を絞って述べる.
本邦は世界有数の脳卒中多発国であり,近年の治療技術の進歩によって脳血管障害の死亡率は低下しているものの,発症率は上昇傾向にある.その発症頻度は心筋梗塞の約4倍近くあるとされており,脳血管障害の後遺症に悩む患者数は増加の一途をたどって,脳梗塞患者数は,2020年には現在の約2倍の300万人を突破すると予測されている.脳血管障害は,65歳以上の寝たきり例の原因の約38%と多く,さらに再発作を繰り返すことによって,日常の生活に支障をきたし,脳血管性認知症へ進展する可能性も危惧されている.
今後の人口構造の高齢化の進行とともに,脳血管障害を合併する患者を診療する機会はますます多くなるため,脳血管障害,とくに脳梗塞の一次予防,二次予防はきわめて重要な意味をもつ1).脳梗塞のリスクファクターは,高血圧,糖尿病,高脂血症,喫煙,飲酒,肥満,心房細動,卵円孔開存,動脈解離などがあげられるが,脳卒中治療ガイドライン20042)で指摘されているように,高血圧に対する降圧療法や心房細動に対するワルファリン投与を除けば,その管理と再発予防に関しては未だ科学的根拠の不十分なものも多い.
脳梗塞の急性期治療と一次予防,二次予防を重視する観点から,降圧薬と抗血小板薬,抗凝固薬について,これまでの報告で明らかにされているエビデンスと最近の知見を交え述べる.
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