特集 ここを知りたい!頭部外傷初期対応・慢性期ケア
【場面別頭部外傷初期アプローチ】
抗凝固療法患者における頭部外傷への対応
稲桝 丈司
1
1藤田保健衛生大学医学部脳神経外科
キーワード:
抗凝固薬
,
抗血小板薬
,
頭部外傷
,
高齢者
,
転倒
Keyword:
抗凝固薬
,
抗血小板薬
,
頭部外傷
,
高齢者
,
転倒
pp.646-648
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200280
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Case
抗凝固薬内服に関連した遅発性頭蓋内血腫の1例
患者:82歳,男性.
持続性心房細動がある.5年前に左房内血栓によるTIA(一過性脳虚血発作)を発症後,ワーファリンⓇを投与されているが,心房細動は難治性であり,2年前にペースメーカー挿入術を受けた.
土曜日の夜に飲酒後滑って転倒,後頭部を強打した.打撲後30秒程意識消失があったが,速やかに回復した.転ぶ前の状況はよく覚えており,必ずしも意識を失ったために転んだわけではなさそうだった.家人は医療機関受診を勧めるも,本人が拒否し受診しなかった.
日曜日は普通に過ごしていたが,夕方に頭痛・嘔気の訴えがあった.
月曜日の朝,なかなか起きてこないため家族が見に行ったところ,昏睡状態であったため救急車を要請した.救急外来にて頭部CTを撮影すると,正中偏移を伴う急性硬膜下血腫(図1)が認められた.
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