Japanese
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増大特集 リハビリテーションQ&A
Ⅴ 脳性麻痺,その他の小児疾患
36.運動発達
Motor development of children with cerebral palsy and other pediatric clinical entity.
近藤 和泉
1
,
藪中 良彦
2
,
尾崎 健一
1
Izumi Kondo
1
,
Yoshihiko Yabunaka
2
,
Kenichi Ozaki
1
1独立法人国立長寿医療研究センター
2大阪保健医療大学保健医療学部
1National Center for Geriatrics and Gerontology
2Department of Rehabilitation Science, Osaka Health Science University
キーワード:
脳性麻痺
,
発達障害
,
運動成長曲線
,
原始反射
Keyword:
脳性麻痺
,
発達障害
,
運動成長曲線
,
原始反射
pp.635-641
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102510
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Q1 乳児期における運動発達のチェックの意義は?
ヒトは他の動物であれば生後すぐに発揮できるような基本的な運動能力(寝ている姿勢から起き上がることから歩行まで)を1歳前後までというかなり長い時間をかけて獲得する.基本的な運動能力の獲得の基盤となっているのが神経系の発達であり,同じ時期に並行してシナプスの形成と退縮,場合によっては細胞死などのダイナミックな変化が脳の中で起こっている.
乳児期における運動発達のチェックの意義は,主に運動障害を主要症状とする脳性麻痺(cerebral palsy;CP)児を早期にみつけることにある.しかし,運動発達は他の能力の発達に先駆けて最も早く進行するものでもあるので,他の発達障害,特に自閉症スペクトラムでは社会性や言語の異常の前に,運動発達の異常が検出されることが多い.Brysonら1)は後に自閉症の診断を受けることになる9名の児が,6か月の段階で呼びかけなどの言語的な刺激に対する反応での異常さはまったくみられなかったのにもかかわらず,4名で運動発達の遅れがみられ,物をつかんだり,把持したり,さらに物へ手を伸ばしたり,持ち替えたりするのが困難だったと報告している.また最近,Lloydら2)は58名の問題のない児と自閉症児162名の粗大・微細運動の発達を,12~36か月までで定期的に評価して比較し,その差が徐々に大きくなっていくことを報告している.したがって運動発達のチェックは,運動障害の検出にとどまらず,自閉症などの脳の異常を基盤とした発達障害を早期から検出するうえで,大きな意義をもつことになる.
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