Japanese
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総説
粗大運動能力分類システム(GMFCS)レビュー―信頼性,妥当性,有効性
Gross Motor Function Classification System review: reliability, validity, and utility.
藪中 良彦
1
,
園田 茂
2
,
近藤 和泉
3
,
川原田 里美
4
Yoshihiko Yabunaka
1
,
Shigeru Sonoda
2
,
Izumi Kondo
3
,
Satomi Kawarada
4
1大阪保健医療大学保健医療学部
2藤田保健衛生大学七栗サナトリウム
3藤田保健衛生大学藤田記念七栗研究所
4青森県立あすなろ医療療育センターリハビリテーション部門
1Department of Rehabilitation Science, Osaka Health Science University
2Nanakuri Sanatorium, Fujita Health University
3Fujita Memorial Nanakuri Institute, Fujita Health University
4Division of Rehabilitation, Aomori Prefectural Asunaro Rehabilitation Center for Children
キーワード:
脳性麻痺
,
粗大運動能力分類システム(GMFCS)
,
信頼性
,
妥当性
,
有効性
Keyword:
脳性麻痺
,
粗大運動能力分類システム(GMFCS)
,
信頼性
,
妥当性
,
有効性
pp.779-783
発行日 2010年8月10日
Published Date 2010/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101835
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はじめに
「脳性麻痺」は,その病因,重症度,臨床像,予後,合併症が多様な診断名である.かつては障害部位,筋緊張や不随意運動の有無,歩行能力,運動障害の程度(軽度・中等度・重度)などをもとにした分類が使用されてきたが,基準が曖昧であり,使用者によって判断が異なることも多かった.
そのような状況のなかで,1997年にカナダのCanChildセンターのグループによって考案されたのが粗大運動能力分類尺度(Gross Motor Function Classification System;GMFCS)であった1).これは,日常生活において各子どもが示す粗大運動能力に基づいて脳性麻痺児の障害の重症度を5つのレベルに分類し,それぞれのレベルの臨床像を4つの年齢帯(2歳以下,2~4歳,4~6歳,6~12歳)に分けて記述したものである.GMFCSは,次のような目的を達成するために開発された.①専門家と家族の間のコミュニケーションを向上する.②子どものニーズを把握し,治療方針を決定する.③脳性麻痺児の発達に関するデータベースを作成する.④治療結果を比較し,一般化する.⑤各脳性麻痺児の機能的予後を予想する.
2009年10月現在,GMFCSは,公式に日本語を含む英語以外の15か国語に翻訳され,国際的に認められた分類尺度になっている.発表以来,開発者を含む多くの研究者によって,信頼性と妥当性が研究され,引用数は毎年増えている.
このレビューでは,主にPubMedを使用した文献検索で集めた研究論文をもとに,GMFCSの開発の歴史,尺度の特性,研究場面での有効性,臨床現場での有効性,今後の課題を報告した.
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