Japanese
English
特集 ゴール設定に必要な予後予測
脳性麻痺
Prognosis of cerebral palsy, factors affected to its long-term goal.
近藤 和泉
1
,
藪中 良彦
2
,
小野木 啓子
3
Izumi Kondo
1
,
Yoshihiko Yabunaka
2
,
Keiko Onogi
3
1藤田保健衛生大学藤田記念七栗研究所
2大阪保健医療大学保健医療学部
3藤田保健衛生大学リハビリテーション医学Ⅰ講座
1Fujita Memorial Nanakuri Institute, Fujita Health University
2Faculty of Allied Health Sciences, Osaka Health Science University
3Department of Rehabilitation Medicine Ⅰ, School of Medicine, Fujita Health University
キーワード:
脳性麻痺
,
生命予後
,
合併症
Keyword:
脳性麻痺
,
生命予後
,
合併症
pp.631-636
発行日 2010年7月10日
Published Date 2010/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101805
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はじめに
脳性麻痺(cerebral palsy;CP)に限ったことではないが,年少の子どものリハビリテーションを開始する場合,まず一番初めに保護者から「この子,歩けるようになるのでしょうか?」とか,「普通の学校に行けるのでしょうか?」などの質問が出されることが多い.一方でCPという診断も,純粋に病理学的なものではなく,症候的な共通性はあっても,その原因は多様であるというのが一般的な理解となっている.したがって,訓練開始時に明確なゴールを呈示することは非常に困難であり,ある程度の経過をみてからでないと,予後予測のみならず確定診断すら難しい場合が多い.
このような状況はあるものの,最近「層別化」という手法を使って,CPの予後予測が行われるようになってきており,一定の精度を確保するとともに,一度プラトーに達した機能が,小児期の早い時期から低下し始めることが明らかになりつつある1).ゴール設定に使える情報は,立つ,歩く,階段を上るなどの粗大運動能力の領域に限定されているが,その他の領域においても,徐々に層別化の概念が取り入れられ,今後,臨床上有用な情報が増えてくると考えられる.
本稿では,これまでの予後予測が,どのように行われてきたかを簡単に振り返るとともに,現在,さらには近い未来にどのような形でゴール設定が行われるようになるかを考えてみたい.
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