Japanese
English
増大特集 リハビリテーションQ&A
Ⅲ 脊髄損傷,その他の脊髄疾患
21.脊髄損傷の合併症
Complications following spinal cord injury.
横山 修
1
Osamu Yokoyama
1
1神奈川リハビリテーション病院リハビリテーション科
1Kanagawa Rehabilitation Hospital, Department of Rehabilitation Medicine
キーワード:
自律神経過反射
,
起立性低血圧
,
異所性骨化
,
褥瘡
Keyword:
自律神経過反射
,
起立性低血圧
,
異所性骨化
,
褥瘡
pp.551-555
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102492
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Q1 自律神経過反射のメカニズムと対応方法は?
目の前の患者が突然,バットで殴られたような激しい頭痛を起こした場合,くも膜下出血などをまず考えるが,頸髄損傷者では自律神経過反射を考える.筆者はX線室でC4完全四肢麻痺の患者が突然激しい頭痛を訴えているといってコールされた.この時,患者はバットで殴られたような激しい頭痛,非麻痺域であるC4レベル以上の領域全体の皮膚紅潮を認めた.血圧は収縮期血圧200台と上昇し,脈拍数は30台であった.隣室の外来看護師を呼ぶとともに,ズボンをゆるめ,バルーンの閉塞の有無の確認,膀胱洗浄を実施したところ,症状は改善した.頭部CT撮影し,くも膜下出血や脳出血などの頭蓋内病変は認めなかった.
T5レベル以上の脊髄損傷者が突然の激しい頭痛,血圧の異常高値を認めた場合,まず自律神経過反射を疑い,迅速に対応する必要がある.自律神経過反射は膀胱や直腸の充満が原因となることが多く,この有害刺激を除去することで大部分は速やかに症状が改善する.そのため,自律神経過反射の病態を十分に理解し,迅速に対応することが重要である.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.