Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
内田魯庵の『病の教訓』
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.912
発行日 2011年9月10日
Published Date 2011/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102217
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明治から昭和にかけて活躍した文学者の内田魯庵(1868~1929)が大正3年8月に発表した『病の教訓』(『内田魯庵全集第7巻』ゆまに書房)は,自らの体験に基づくいわば「病のすすめ」とでも呼ぶべき書である.
このエッセイの冒頭で魯庵は,40度前後の熱が数日間続いて減退しない時は,人間が善良になるとまでは言えないにしても,「平生最も多く煩わさるる不良の妄念疑心からは免れておる」と主張する.病は「人をして聖人君子たらしめないまでも,少なくも平生よりはヨリ多く霊的ならしめる,ヨリ多く敬虔ならしめる,ヨリ多くマジメならしめる」というのが,魯庵の考えなのである.
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