ドクトル巷談
母の教訓
広瀬 正義
pp.97
発行日 1969年7月1日
Published Date 1969/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914547
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つい最近のことである。ある日私は,そのあとに何人か患者さんが待っているのに,舌圧子の消毒したのが,あと2,3本しか残っていないのに気がついた。
もともとこんなものは,毎朝診療開始前に消毒しておくべきものなのである。ところがその朝私が使い始めたものは,実は前日消毒したままで,使わずに残っていたものなのである。だからその日は始めっから,消毒済みのものの数が少なかったのであって,患者さんの数が多くて,舌圧子をたくさん使ったというわけではないのである。そこで私は,診療の終わった患者さんの処方を書き終わると,そのカルテを看護婦さんに渡した。そして,その調剤やらカルテ裏面の記載などを彼女に任せて,自分は使い終わった舌圧子を持ってきて洗い始めた。
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