連載 印象に残ったリハビリテーション事例
オーイー法にまつわる思い出の患者さんたち
藤島 一郎
1
1浜松市リハビリテーション病院
キーワード:
OE法
,
経管栄養法
,
嚥下障害
Keyword:
OE法
,
経管栄養法
,
嚥下障害
pp.811-813
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102183
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筆者は嚥下障害の臨床に携わって30年あまりになる.この間さまざまな困難に遭遇したが,当初から,そして現在も悩み続けている古くて新しい問題が,経管栄養である.嚥下障害で経口摂取ができないか不十分な患者さんに対して,安全で,快適で,効率がよく嚥下に有利な栄養法は何か? 嚥下障害を扱ううえで栄養法は避けて通れない問題である.
経管栄養と言えばまず経鼻経管栄養である.その昔に開発された頃は画期的な医療技術であり,多くの命を救った.きわめて簡便で有用性も高いため,医療現場では不可欠の栄養補給手段であるが,汎用されるが故の弊害も目立ってきた.そこで登場するのが胃瘻である.古くは外科的に作製され,最近はPEGが当たり前となって広く普及している.PEGは長期の栄養管理として優れた方法であり,経鼻経管栄養より嚥下にとって有利である.ただし,問題がないわけではなく,下痢や逆流,イレウス,皮膚トラブルなどとともに,心理的な負担と,「PEGがあるのだから,口から食べなくてもいいだろう」という安易な考えで経口摂取に対する取り組みを放棄してしまう例があることなどが挙げられる.
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