Japanese
English
講座 脳血管内治療・2
出血性疾患に対する脳血管内治療
Endovascular neurosurgery for hemorrhagic intracranial disease.
荏原 正幸
1
,
村山 雄一
1
Masaki Ebara
1
,
Yuichi Murayama
1
1東京慈恵会医科大学脳神経外科脳血管内治療部
1Center for Endovascular Neurosurgery, The Jikei University School of Medicine
キーワード:
くも膜下出血
,
コイル塞栓術
,
脳動静脈奇形
,
液体塞栓物質
Keyword:
くも膜下出血
,
コイル塞栓術
,
脳動静脈奇形
,
液体塞栓物質
pp.143-148
発行日 2010年2月10日
Published Date 2010/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101703
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はじめに
脳神経外科領域の出血性疾患には,高血圧性脳内出血や破裂脳動脈瘤,脳動静脈奇形(AVM)などが挙げられる.出血した部位により,脳(実質)内出血,くも膜下出血,脳室内出血というように分類することもできる.通常,破裂脳動脈瘤はくも膜下出血を引き起こすが,脳内出血や脳室内出血を合併することもある.また,脳梗塞は虚血性疾患であるが,広範な脳梗塞を生じた場合などには,梗塞で脆弱となった脳組織が出血性変化を引き起こし,出血性脳梗塞となることもある.
脳神経外科の出血性疾患のなかで脳血管内治療の対象となるのは,脳動脈瘤,AVMなどで,高血圧性脳内出血は通常,血管内治療の対象とはならない.発生頻度は,破裂脳動脈瘤は人口10万人当たり年間15人前後である一方で,AVMは人口10万人当たり年間1人前後と1/10以下である.また近年,脳ドックなどで未破裂脳動脈瘤が発見され,将来の破裂予防を目的として治療を受けることも多い.したがって,出血性疾患の脳血管内治療のなかでは,破裂,未破裂の両者を含めた脳動脈瘤手術が占める割合が圧倒的に多い.
本稿では,脳動脈瘤の脳血管内治療を中心に解説し,一部,AVMの脳血管内治療についても触れる.
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