Japanese
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講座 リハビリテーション医学研究で使われる多変量解析・2
分散分析と重回帰分析
Analysis of variance and multiple regression.
折笠 秀樹
1
Hideki Origasa
1
1富山大学医学部バイオ統計学・臨床疫学部門
1Division of Biostatistics and Clinical Epidemiology, School of Medicine, University of Toyama
キーワード:
共分散分析
,
最小2乗推定
,
デザイン行列
Keyword:
共分散分析
,
最小2乗推定
,
デザイン行列
pp.531-539
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101528
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分散分析
1.概 論
統計解析手法のなかで最も知られているのはt検定であろう.これは,2群の平均値を比較するときに使用される.これが3群になったら,t検定の代わりにF検定を用いる.このF検定こそが分散分析である.著名な統計学者Fisherが提唱したため,その頭文字が取られた.また,ANOVA(analysis of variance,アノーバと呼ぶ)と言うことも多い.
最も簡単な分散分析では,要因(factor)は1つであり,その水準(level)が3つ以上になる.例として,目的変数である体重減少の要因として食事メニューを考えた場合,果物重視メニュー,カロリー控えめメニュー,脂肪分控えめメニューの3種類があるとしよう.これらのメニューには順序性はないので,3水準からなる名義尺度と言える.分散分析での帰無仮説は「3種類のメニューに減量効果の違いはない」であり,対立仮説は「何らかの違いがある」となる.このとき,体重減少の全体変動を,群間変動(メニュー間での違い)と群内変動(メニュー内での個人差)に分解する.このように,体重減少の分散を2つの要素に分けて分析するため,分散分析と呼ばれる.
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