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はじめに
診断群分類とは,医療資源の必要度の均質性(在院日数と行った医療行為のコストなど)と,臨床的な類似性に基づいて患者を分類する方法である.エール大学のFetterら1)によって,病院サービスのアウトカム(結果)評価の目的で開発されたDRG(diagnosis related groups)が,その最初のものである.
1982年,DRGはアメリカの高齢者を対象とした医療制度であるMedicareに,1入院あたりの包括支払いの枠組みとして採用された.当時,多くの先進国の医療政策担当者は医療費支払いにおける透明性を確保し,そのコントロールを行うためのツールを模索していた.DRGはそうした各国の医療のニーズに合うものであったことから,世界中に広がっていった.しかし,国によっては自国のそれまでの制度との整合性を図る目的で,独自の診断群分類の開発に取り組むところもある.イギリスのHRG(health resource group),カナダのCMG(case mix groups)などがそうした例である.わが国でも,1990年代後半にアメリカのDRGの適用可能性について検討されたが,日本の診療システムに合わない点が少なくないことから,日本独自の診断群分類であるDPC(diagnosis procedure combination)が開発され,現在,急性期入院医療の包括評価方式の基礎として応用されている2).
DPCは支払いを目的として開発されたものではなく,あくまで病院サービスのプロセス(過程)とアウトカムを評価するためにある.医療の第一の目的は,質の高いサービスを提供することであり,そのためには質を測定する必要がある.日進月歩の医療の世界において絶対的評価を行うことは困難であるため,相対的評価が中心となる.相対的評価を行うためには比較の単位が必要であり,その単位がDPCなのである.
DPCに関連して収集される情報は,これまでの出来高ベースのレセプト以上に詳細なものである.これらの情報を全国共通のフォーマットで整理することで,DPCに参加する病院は臨床の質,経営の質を高めるための具体的なツールをもつことができる.
標準化・透明化された情報に基づく病院マネジメントの改革がDPCの本質であり2),本稿では,この視点からDPCの概要を説明してみたい.
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