特集 医療IT化の行方
DPCからみた医療IT化
松田 晋哉
1
1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
キーワード:
DPC
,
Dファイル
,
Fファイル
,
電子レセプト
,
医療の質
Keyword:
DPC
,
Dファイル
,
Fファイル
,
電子レセプト
,
医療の質
pp.467-471
発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101465
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日本は医療のIT化が遅れていると批判されて久しい.そして,これを解決するために「電子カルテの一般化が必要である」と主張され,実行されてきた.これは正しい主張であったのだろうか.何のために情報が必要なのかと言えば,業務の効率化,情報の後利用によるマネジメントや医療の質の改善のためである.わが国の現在の電子カルテの状況はこの視点から見た時に,本当に望ましい形になっているだろうか.
個々の医療機関において,電子カルテ化に大きな効果があったことは筆者も認めている.医療職間で患者記録が電子的に共有されることで,業務の効率性と安全性は飛躍的に向上した.しかしながら,異なる施設間の情報の共有という点ではどうであろうか.標準仕様がない状態で,それぞれの病院がそれぞれのベンダーとの関係の中で独自のシステムを作ってしまったために,社会全体で見るとコストが高く,そして互換性のない情報システムが日本中に広まってしまったのではないだろうか.社会の情報インフラという視点が,わが国の電子カルテ事業には決定的に欠けている注).
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