研究と報告【投稿】
DPCおよび患者調査データを用いた鹿児島医療圏における急性期入院医療の分析
福留 亮
1,2
,
松田 晋哉
1
,
村松 圭司
1
,
藤野 善久
1
,
久保 達彦
1
1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
2公益財団法人慈愛会事務局経営企画室
キーワード:
DPC
,
患者調査
,
人口推計
,
医療計画
Keyword:
DPC
,
患者調査
,
人口推計
,
医療計画
pp.476-483
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102801
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要旨
目的:鹿児島県医療圏における急性期入院医療の現状と将来像を厚生労働省が公開しているDPCおよび患者調査のデータに基づいて検討した.
データおよび分析方法:分析で用いた資料データは厚生労働省が公開している①2011(平成23)年度DPCデータと②2011(平成23)年度患者調査集計表,そして③国立社会保障人口問題研究所が公表している人口推計データである.①により鹿児島医療圏の急性期医療の診療実績を,②と③を用いて鹿児島医療圏における傷病別入院患者数を推計した.
結果:本分析の結果,鹿児島医療圏の急性期入院医療について以下の5つの点が明らかとなった.第1に医療圏内で全診療科に対応した入院医療が行われていること,第2に鹿児島医療圏では医療機関間の特性がかなり異なっており,ある程度の機能分化がすでになされていること,第3に鹿児島医療圏には他の二次医療圏から患者が相当数流入しており,鹿児島医療圏の医療機関は総体として鹿児島県全体の急性期医療を担っていること,今後高齢化に伴って肺炎と骨折の入院患者が急増すると予想されること,そして最後に今後患者数の増加に対応するために療養病床で在院日数の短縮が必要になることである.
考察:DPCデータ,患者調査データおよび人口推計といった公開データを用いることで,各医療圏における急性期医療の現状と今後の課題を分析できることが示された.本研究で行った分析手法は地域医療計画の策定・評価にあたって有用であると考えられる.
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